<カタログ収集の楽しみ〜MGBトゥアラーMk.1カタログ〜>

 

brutusはじめに

 幼少の頃「カーキチ」と呼ばれた人であれば、誰でも一度はクルマのカタログを収集したことがあるのではないだろうか。

 今ほどクルマに関する情報が巷に溢れていなかった頃、また今ほどクルマに関する情報にお金を使えなかった頃、クルマのカタログは無償で手に入る貴重で豊富な情報源だった。

 商売に繋がらない子供に高価な(安いものでも一冊数百円する)カタログを上げるのを嫌がるセールスマン氏を拝み倒してようやくにも手に入れた自分の好きなクルマのカタログを、それこそ1ページ毎1文字毎に食い入るように読んだ思い出がある人も少なくないだろう。

 また自分が惚れて入手したクルマであれば、それが当時何をセールス・ポイントとし、顧客の購買意欲を高めるためにどう語りかけられていたかが気になることも当然ではないだろうか。

 またカタログというのは基本的にその商品の購入を促すために、商品のスペックを顧客に伝える「メーカーの公式資料」である。そのためそのクルマの仕様/装備や歴史を調べる際には、非常に参考になる資料でもある。

 

 別な見方をしてみよう。

 世にあまた存在する商品の中で「カタログ」を持っているものは、実は多くはない。その中でもクルマのカタログはそのクォリティ/ページ数/発行部数/種類など各分野で傑出した位置付けにある。

 特にその写真やデザインは、そのカタログが(ということは、その商品が)生まれた当時の世相や流行を如実に反映している。これは嗜好品としての側面も併せ持っている「クルマ」という商品の販売促進パンフレットとしてはしごく当然なことなのだが、時間を置いて振り返って見た時にはそこに読む人の郷愁を誘う効果が生まれる。

 一方、一冊のカタログを作り出すために注入される費用や労力をご存知だろうか?例えばモデル・チェンジや新規投入モデルなどの全面改良だとして、20ページ程度のカタログの企画がスタートするのはその商品の一般発表の1年以上前である。

 一冊のカタログに必要な写真点数は大小40点以上にも及ぶ。その中でも表紙や見開きなどに使われる写真は、カタログを開く人の気持ちをまず捉えなければならない重要な役割を担っている。それらの写真は、場合によっては海外でのロケーションや複雑なCG合成などの多額の費用や時間を注入して製作される。例えばそれは1枚の写真のために一週間以上の撮影期間を要することさえあるのだ。

 こうして製作されるカタログは印刷費を除いても数千万円の費用と、数多くの人たちの労力の結果として生み出されるのだ。

 それほどのエネルギィが詰まったカタログは、それ自体充分にコレクションするに値する物であることは言うまでもない。しかもコレクションの対象となるのに不可欠である「種類の多さ」という点で、クルマのカタログはモデル別/年式別など実に多種多様であることはご存知のとおりである。

 実際自動車趣味(に限らず、「趣味」全般と言えるが)の先進国であるイギリスなどでは、カタログ(「ブローシュア」とも言う)は立派なコレクターズ・アイテムとして確固たる市場が存在している。日本ではまだまだ英国などには及ばないものの、それでも近年マニアの間で国産旧車のカタログがプレミアム付きで流通し始めている。

 

 翻ってMGBにおけるカタログ・コレクションである。

 18年間にも及ぶMGBの生涯において、そのカタログの種類は年式/仕向地別で大まかに分けても60種類以上にも及ぶと推測される(その詳細については英国の書籍である「MG COLLECTIBLES」において、ほぼ全容が網羅されている)。

 筆者がMGBのカタログを集め始めた動機は、まさに前述の通りである。

 つまり自分が所有しているMGBが、当時カタログでどういう扱いをされていたのか?また資料によってまちまちなMGBのスペックは、公式資料であるカタログではどうなっているのかを知るために集め始めたものである。

 ところがそれがある程度数を揃えてくると、今度はMGB全主要モデル、そしてMGBの全カタログを揃えたコンプリート・コレクションを目指すという、コレクターの辿る獣道を忠実になぞったものである。

 しかし実際にはMGBの全カタログを揃えるというのは容易なことではなく、Corkey's catalogue collectionで紹介した60冊以上をもってしても、なおコンプリートとは言えないのである。

 

 さてここではその筆者のカタログ・コレクションを元に、特に最初のMGBであるMk.1のそれにおける興味あるポイントを紹介しよう。

 

Part.1 Mk.1 北米仕様

mk1us  これがMGBの、アメリカにおける最初のカタログと思われる、カラー4ページのものである。

 なぜ本国仕様ではなく、北米仕様を最初にご紹介するのか?その理由の一つは、ここに写っている車こそ、MGBの生産第1号車と思われるからである。

 シリアル・ナンバーはG−HN3 102であり、101号車は右ハンドルの英国仕様車として生産されたのであるが、実はこの102号車の方が101号車に1日先行して1962年5月22日にアビンドンのラインを降りている。

 前述のように、新型車のカタログ製作が開始されるのは発売1年前である。無論この頃はまだ撮影に耐えられるような試作車はなく、実際の撮影が始まるのは発売数ヶ月前からにすぎない。

 その間は広告宣伝のための市場分析やコミュニケーション・コンセプトの作成、そして広告宣伝のデザイン・ワークに費やされるのが現在の通例である。

 いざ実際の車の撮影からフィニッシュ/入稿までの時間は、それこそ1日を争うほどタイトなスケジュールの中で行われる。その時間を1日でも多く稼ぐため、あえて北米仕様から先に生産されたものと推測される。

 言うまでもなくアメリカは世界に先駆けて大量生産時代を切り開いた国である。当然それは大量消費があって初めて実現されうるものであり、そのためには大衆広告は欠かせない重要な要素である。因みに今でも語り草とされるパッカードの「オーナーに聞け」というキャッチコピーは、実に1903年(もう100年前だ!)に登場している。

無論それを可能にするためには、大衆にアピールできる媒体(マス・メディア)の存在が不可欠なのだが。

 

 さて、このカタログを最初に紹介したもう一つの理由が次の写真である

 写真が小さくて読み取れないだろうが、実はこれは「カー&ドライバー」誌編集長宛の手紙という形式を取った折込4ページの広告である。因みにまったく同じ体裁で、「ロード&mk1usadトラック」誌編集長宛という形式を取ったものも確認している。

 内容は先に紹介したカタログとまったく同一で、ただコピー(文章)だけが広告用としてアレンジを受けている。

 実はMGおよびMGのカタログにおいてこの手はこの後もよく使われる手法である。

 現在でも雑誌などの印刷媒体に限らず、TVなどの電波媒体でも企業側が制作費を出して編集部(制作部門)が製作する、記事または番組形態を取った広告は少なくない。これを通称「ペイド・パブリケーション(ペイド・パブ)」「インフォマーシャル(インフォメーション+コマーシャル)」と呼んだりする。

 新聞などで1ページ丸々企業や商品の紹介に費やされているのを目にされた事があると思うが、それらのページのどこかには必ず「広告」と明記されていたはずである。例えあなたが見落としていたとしても。

 しかし現実としてカタログとまったく同じものを雑誌に挟み込むというのは紙質・サイズなどの問題があり、かなりコストのかかる手法である。

 それをあえて実行したところに当時のアメリカの販売代理店の、MGBにかける意気込みを読み取ることもできると言えるだろう。

 

 

Part.2 Mk.1 本国仕様

mk1gb さて左が記念すべきMGB本国版カタログの最初のもので、16ページ物である。

 筆者の所有するカタログの奥付によると、発行は 1962年6月とされている。

 実はMGBの公式デビューは9月20日のアールズコート・モーターショウとされているから、このカタログはそれよりも3ヶ月も早く発行されたことになる。

 このカタログは続くMk.2の時代まで7年に渡って細部に手を入れられつつ使われ続けるのだが、ご注意いただきたのは、

今から40年も前でありながら、明らかに女性を意識した表現が表紙に示されている点である。曰く「力を手中に」「手中に愛しく」。

 本文中でもこの二つのテーマに従ってMGBの紹介がなされるのだが、前者は直接的にエンジンとトランスミッションを、後者はシャーシィを語る枕詞とされている。

 特にそのシャーシィについて語られているページには、下図で示すように美しいご婦人が描かれている。

 

 「描かれている」と言えば、このカタログには一切写真はなく、すべてイラストレーションである。しかし実はこれらのイラストはすべて一度撮影した写真をあらためて描き起こしたものと思われる。

 

mk1gbP7 mk1gbP7-2

 

 

 

 

 

 上の写真は「MGB THE ILLUSTRATED HISTORY」に掲載されていた「プリプロダクション仕様MGB」の写真とされるものである。アングルが同じであることが分かるだろう。

 因みに右の写真で読み取れる「144KJO」のナンバーであるが、まさにこの番号が描き込まれたMGBのイラストがカタログの表紙の裏面(業界用語で言うところの「表2」面)に描かれている。また描かれたボディカラーが実車と同じであるとしたら、左ハンドルであるところからこの車が前述の生産1号車であった可能性が高いのではないかと思われる。

 実はこの本の同じページには、もう一つ面白い写真が掲載されており、それを見るとカタログ左下にある女性がドライヴァ・シートに座っているイラストもまた写真を元にしていると思われるのである。

因みに「THE ILLUSTRATED HISTORY」掲載の写真は右ハンドル車だったが、比較しやすいように反転して両者を並べたのが下である。

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 イラストというのはありがたいもので、撮影車両が生産先行試作車であったためにステアリング・ホイールのスポークが2本だったり、コンソールボックスのラジオ・スピーカーネットが四角だったりしていたのが、ちゃんと修正されている。

 もう一つの、そして最大の違いは言うまでもない。

 

Part. Mk.1 本国仕様の変遷

 MGB Mk.1のカタログは、半年後の1963年3月にマイナーチェンジを受ける。この変更は車両の変更に伴うものと言うよりも、むしろ販売現場からの要請に基づくものではないかと思われるフシがある。

 

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上の左が最初、右が2番目のカタログ表紙である。

 最初のカタログとの違いと言えば、オクタゴン・マークに代わる「SUPERLATIVE」(「最上の」「極上の」)の文字だけである。

 それは中身もその通りでイラスト等に変更はなく、コピーの各所にこの文字が追加されただけと言って良い。

 しかし最初のカタログがむしろ抑制された淡々とした文章だったのに対し、カタログ同様に長くMGBのメイン・キャッチコピーとして用いられるようになるこのコピーに象徴されるように、文章全体が販売促進用の広告宣伝物として強い語り口に変えられている。

 それを示す実例として、最初の見開きに書かれたボディ・コピー(見出しに対する「本文」)をお見せしよう。

 

<最初のカタログ>

... Its value is unquestionable. The 'MGB' sets a new pace in sports car design. Its forerunner-the universally acclaimed 'MGA 1600'-created a record unique in sports car history, being the first to reach a production figure of over 100,000. The 'MGB' transcends its well-proven predecessor in every way. It is designed to do so. It has more power; more vivid acceleration; more brisk performance through the gears-all making for more safety. It also has more room, more comfort, a superior ride and greater refinements. These pace-setting advances over the 'MGA' are an impressive indication of the unqualified value in the 'MGB'.

 

<2番目のカタログ>

SUPERLATIVE in value. 'Superlative' is a word to use with discretion. The 'MGB' meets the challenge with complete confidence. Its forerunner-the 'MGA 1600'-created a record unique in sports-car history with a production of over 100,000. The 'MGB' transcends its redoubtable predecessor in every way. It is built to do so. It has more power, more vivid acceleration, more brisk performance through the gears-consequently more safety; it has more room, more comfort, a superior ride, and more refinements. These advances on a predecessor which itself achieved record success are an impressive indication of the unbeatable value in the 'MGB'. The sports-car connoisseur will find in this car all that he has been looking for

 

 さてこの2番目のカタログで、まったくスペック上の変更がないかというと正確にはそうではない。

 特に留意すべきと思われるのは、装備品のリストである。2番目のカタログに記載されている装備品を中心に記すと、次の通りである。

 なおボディカラーにおけるブリティッシュ・レーシング・グリーンの設定は、このカタログから記載されている。

 

 <輸出仕様標準装備品>※最初のカタログにはこの項目なし

●オイル・クーラー

●前後オーヴァ・ライダー

●仕向地に合わせた「Km/h」または「mph」表記スピードメーター

●仕向地に合わせたヘッドライト

●2連ホーン

 

 <オプション装備品>

●オーヴァ・ドライヴ

●オイル・クーラー(本国仕様のみ)※最初のカタログにも記載

●フレッシュエア・ヒーター&デミスター※最初のカタログにも記載

●ロードスピード・タイヤ※最初のカタログにも記載

●ホワイトウォール・タイヤ※最初のカタログにも記載

●ワイヤ・ホイール※最初のカタログにも記載

●2連ホーン※最初のカタログにも記載

●フェンダー(ウィング)・ミラー※最初のカタログにも記載

●トノゥ・カバー※最初のカタログにも記載

●アンチロール・バー※最初のカタログにも記載

●ヘッドランプ・フラッシャー(パッシング・ライト)※最初のカタログにも記載

●折畳式幌※最初のカタログにも記載

●灰皿※最初のカタログにも記載

●リア・コンパートメント・クッション※最初のカタログにも記載

●エース・マーキュリー社製ホイールキャップ(本国仕様のみ)※最初のカタログにも記載

●オーヴァ・ライダー付フロント・バンパー(本国仕様のみ。リアは標準装備)

 

これで見るとこの半年間に新たに加わったオプション装備品と言えば、電磁式オーヴァ・ドライヴだけということになる。

フロント・バンパーのオーヴァ・ライダーはカタログを見る限りオプション品扱いなのだが、メーカーのオフィシャル・フォトでこれが付いていない写真を見たことがない。

 

さてMGBは1964年10月に、最初の大きなメカニカル部分への変更を受ける。エンジンの5ベアリング化である。

そして生まれたのが下のカタログだが、このカタログの出版は65年11月であり、エンジン換装直後に発行された物ではないことを申し添えておく。


 まず気が付くのは「SUPERLATIVE」の文字が水色になり、二つのコピー「POWER in hand」「Lovely to handle」の文字が、「SMOOTH,FLEXIBLE POWER(スムーズで柔軟な力)」「DELIGHTFUL TO HANDLE(操縦して楽しく)」という、紫色の直裁なコピーに変えられている。

 さらにオクタゴンの上の「WITH 1800cc ENGINE」の文字も、「WITH FIVE-BEARING CRANKSHAFT 1800cc ENGINE」と変更になっている。

 

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話はそもそもの「印刷の仕組み」の事になる。

 手元にルーペがあれば、例えば新聞のカラー折込チラシの、印刷がなされている部分を見ていただきたい。そうすると、きれいな写真に見えていたものが実は様々な点の集合によって構成されていることが分かるだろう。

 この点は、黄色(「イエロー」の「Y」)/紫色(「マゼンタ」の「M」)/水色(「シアン」の「C」)/黒(「ブラック」の「B」、または「クロ」の「K」)の4つの種類がある。

 カラー印刷は通常この4つの色の点の密度によってすべての色が表現される。まあ金色や艶消し色など、この4色では表現しきれない色についてはそのための追加色を専用に作成して用いることがあり、この色のことを「特色」と呼ぶ。

 さて印刷を行う場合、一つの原稿を上記の4つの色に分解した「版」を製作し、これを用紙に刷り重ねることで色を再現するのが印刷のメカニズムである。

 この版の製作には当然のように費用を要するし、例えば印刷物のどこか一部分を修正しようと思えば、それに関わる版をすべて同様に修正しなければならない。

 そこで今回のこの修正である。

 元になっているのは黒文字、つまり1版だけで構成されている。今回の変更はとよく見ると、水色/黒/紫色の各1色だけで出来ている。

 これは修正にできるだけ費用をかけたくない時によく使われる手なのである。

 

mk1gb3-ENGINE さて中身の変更については、当然クランク・シャフトの5ベアリング化に伴う説明とスペック・データーの修正はもちろんだが、最初のカタログから掲載されているエンジンのイラストに、5ベアリング化によるエンジンのメリットが書き添えられている。

 ただしイラスト自体は元のままである。

 さて装備の変更点である。

 

 

 

 

 最も目に付く変更は、ハードトップのオプション装備品化だろう。下図での左が最初のカタログでのイラストで、右はこの3番目のカタログで同じページにあるイラストである。

 

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 ご覧の通りである。

 色の微妙な違いは筆者が所有するカタログの印刷の差とスキャナーで取り込んだ際の誤差なのだが、最初のカタログに掲載されたイラストを元に描き加えられたのが良く分かる。

 イラストの良いところは前回もご紹介した通り、より良く見せるためのデフォルメや、見せたい部分の強調や逆に見せたくない部分の省略などが随意に可能である点にある。逆にイラストの欠点は、写真を撮影してからイラストを起こすという作業手順となるために、時間と費用がかかるという点である。

 現在ではカタログのすべてをイラストレーションで構成するということは、この二つの難点からまず行われないと言ってよい。しかし例えばエンジン内部などのメカニズム紹介のためのXレイ・イラスト(透視図)の製作は今でも多用される手法である。その制作費は100万円単位だったりするのであるが。

 

 さてこのカタログの時点での装備だが、まずボディカラーからはチェルシー・グレイが落とされている。また幌はそれまでの赤/青/灰の3色に、黒が加わってボディカラーに合わせて2色ずつが用意されている。

 新たにリストに加わっているハードトップは、イラストの赤に加えて灰/青/黒/オールド・イングリッシュ・ホワイトの5色が設定されている。

 また前述のオーヴァ・ライダーだが、このカタログの時点では前後共標準装備品のリストに名を連ねるようになっている。

 標準装備品以外のオプション装備については「SELECTED ACCESSORIES」として記載されているが、中には消火器までがラインナップされるようになっている。

 下がそのリストの原文である。

 

OPTIONAL EQUIPMENT

Overdrive; fresh-air heater and demister; SP.41 tyres ; Whitewall tyres ;wire wheels ; tonneau cover; anti-roll bar; headlamp flasher and switch ;fold-away hood; hard top.

 

SELECTED ACCESSORIES Available from your Distributor or Dealer:

Seat belts ; switch panel; touch-up paint; fire extinguisher; individual hand tools; rubber mats; seat covers; travel rugs; luggage grid; fog and driving lamps; reversing lamp; badge bar; battery charger;

passenger foot-rest; twin horns; wing mirror; ashtray; rear compartment cushion ; Ace-Mercury wheel discs ; cigar lighter.

 

Part.4 Mk.1 日本仕様

日英自動車は、1980年のMGBの生産休止までBMC/BLの正規代理店だった。MGBの輸入を開始した1963年、日英自動車は本国のカタログを元にした日本語版のカタログ(印刷は、なんと英国である)を使った販売促進活動を展開していた。

それは基本的には本国版カタログの説明コピーを日本語化したものだったが、中に日英自動車とBMCの繋がりをアピールする写真が追加されていたりするところが興味深い。

しかしこのカタログは非常に発行部数が少なく、MGBのカタログ中でも1、2を争うほど入手が困難である。本国版や米国版のカタログであればそれなりの市場があるし、海外のネット・オークションを活用して入手することも比較的容易なのだが、何しろ日本はまだそこまでカタログ市場が生育していないのである。

筆者も保育社刊の「世界の名車シリーズ10巻『BL SPORTS』」(絶版)で存在を知って以来20年近く探し続けて、ようやく日本のネット・オークションで入手することができたものである。

ここで縮小版ではあるものの、その記念すべき最初のMGB日本版カタログの全ページをお目にかけよう。

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追記 Mk.2 本国仕様

mk2gb 本稿のテーマはMk.1なのだが、このカタログがこの後どうなって行くのかについて少々記しておこう。

 

 これが1967年10月発行のMk.2のカタログである。まさにこの月にMk.2が発売されている。しかし表紙からはMk.2であることは窺い知れない。

 しかし中身は車両の改良以上に大きい。なぜならページ数が8ページと、Mk.1時代の半減となっているからだ。

 因みに表紙のMGBのイラストはMk.1時代とまったく同じ物で、その時は最初の見開きに描かれていたものである。

 しかしそれ以外では、手の入っていないものはないほど、微に入り細に入り手が加えられている。

 逆に言えば、この二つのカタログのイラストを比較すればMk.2に施された改良部位が目で見て分かるとも言える。

 このカタログの後、MGBのカタログは本国版であっても写真を用いた物となる。しかしウレタンバンパーが装着された時には、それをイラストで写真に描き加えるという力技を見せるのである。

 

Mk.

Mk.

mk1gb3-ENGINE

mk2-ENGINE

シフトレバー形状に注意

mk1gb3-HT

 

mk2-HT

ハードトップ色に注意

mk1gb-REAR

mk2gb-REAR

幌の色と後退灯に注意

 

mk1-TONNEAU

 

mk2-TONNEAU

トノカバーの色に注意

 

mk1-QUATER

 

mk2-QUATER

フードカバー色/内装色に注意

 

mk1-INT

 

mk2-INT

内装色/ドアハンドル/シフトノブに注意

 

mk1-BOOT

 

mk2-BOOT

後退灯に注意

 

mk1-COCK

 

mk2-COCK

シフトノブ形状/内装色に注意

 

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