CAR MAGAZINE 2013年3月号「MGB再考」

 

 

 事の始まりは、京都・嵐山高雄パークウェイで毎年3月〜12月の間の第2日曜日に行われている「高雄サンデーミーティング」だった。

 実は関西では能勢・妙見山山頂の無料駐車場で、毎月第2日曜日に主催者も定かではないツール・ド・箕面というミーティング(参加料なし。三々五々集まって、ウダウダ時間を消費して流れ解散するという、イベントとも呼びにくいが気楽な集まりだった)があったのだが、元々は山頂の霊廟参詣者のために無料開放されていた広大な駐車場が有料化されてしまった事で継続できなくなってしまった。実は筆者の自宅から妙見山は1時間もかからないので毎回Bee-Vと共に散歩がてらに参加していたのだが、なくなってしまっては仕方ないので2007年春から高雄に行くようになったのだ。

 高雄サンデーミーティングは清水倫正さんが主催し、一応毎回のテーマ車種とコンクール・ドゥ・エレガンス(と言っても、あくまで「ごっこ」レベルだが)が行われ、参加費は1000円/回または年間5000円である(他に嵐山高雄パークウェイの通行料1200円が必要)。

 余談だが、Bee-Vも数度の協賛企業(ドイツのオイルメーカー『リキモリ』)賞をいただいている他、2018年4月にはコンクール・ウィナーに選んでいただいている。

 

 さて、そんな中で2012年の9月の事だったと思うが、たまたまカーマガジン誌の鵜飼副編集長(当時)を始めとする取材陣が来ているところに、筆者と知人のMGCトゥアラーの2台が参加していた。

 鵜飼副編集長と知古を得た筆者は調子に乗って、MGBが2012年で生誕50周年を迎える事、またカーマガジン誌上でMGBが単独で取り上げられた事がほとんどない事を申し上げた。

 もちろんその時は「カーマガジンでMGBが取り上げられたら良いな」くらいに思っていたのだが、それから1か月程した2012年10月に鵜飼副編集長から筆者の下にメール連絡があった。何とカーマガジンで本当にMGBの特集をやるという。

 鵜飼副編集長からのメールでは「Mk.Tに筆者のBee-Vと知人のMGCトゥアラー/UB2/RV8でMGBのヒストリィ紹介を交えた記事」という事だったのだが、「だったらいっそ」という事で、Mk.TからRV8までの歴代のMGBをズラリ並べたら面白いと提案したのは筆者である。

 という訳で本来はせいぜい4〜8ページ位の記事のつもりだったらしいのだが、話は一気に大掛かりなものとなった。

 おかげでページ数は何と30ページにも及ぶ大特集となったのだがその代償として掲載はどんどん遅れることとなり11月発行号掲載予定が12月発行号になり、結局「MGB50周年」である2012年からはわずかにこぼれる2013年始めの発行という事になってしまった。

 しかしこのページ数はカーグラフィック誌などを含む過去の日本の自動車雑誌でのMGB単独掲載特集としては最大ページ数を誇る。

 

 さて「Mk.TからRV8まで」と大見栄を切った筆者だったが、いざ取材車を集めるとなるとそれは神戸MGカークラブのM会長の多大なるご協力なしにはなし得ない事だった。

 ラインナップはオリジナリティを重視して選定したが、苦労したのはレイランド・グリルとUB2だった。特にレイランド・グリルはMk.T用に変えられてしまっているケースが多く、本来のリセスト・グリルのまま残されている個体は少ない。

 しかし神戸MGCCが毎年春に西宮ヨットハーバーで開催している「Meet the MG」の参加者の中にレイランド・グリル車がいるという事で、筆者が直接連絡を取って取材参加にご了承いただいた。

 このMk.Vレイランド・グリル車が実はこれまたレアで、たぶん日本で紹介されたことのない種類のMGBだったのだが、それは取材時に明らかになる(その中身については、カーマガジンの記事をご覧いただきたい)。

 

取材は2012年12月2日(日)に嵐山高雄パークウェイで行われた。えらく気温の低い日ではあったが、高尾山の紅葉はまさに盛りといった様相だった。

その中で元ネコ・パブリッシングの社員で現在はカーマガジンを中心にフリー・ランスの自動車評論家を生業としている吉田拓生氏の取材で早朝8時のパークウェイ開場から取材は続いた(因みに吉田氏はその後MGB Mk.Uを購入して自らの愛車とされる事になる)。

途中で各車両で撮影すべきトピックス的なポイントの助言を求められたりしつつ、取材は約半日行われた。実はこの時Bee-Vはスロットル・ワイヤに障害を抱えており、スロットル・レスポンスにいつもの切れと迫力を欠いていたのが心残りではあった。

 この取材後鵜飼副編集長から「MGB年表」作成の依頼を受けたり(この年表は1ヶ所痛恨の誤記を犯したことを告白しておく)、吉田氏の書かれた記事内容の正誤チェックをさせていただいたり、筆者が所有する60冊以上のMGBのカタログの資料提供を行ったりしつつ、2013年1月26日にMGB特集を掲載したカーマガジン417号は遂に発売となった。

 これは30年に及ぶMGBの歴史を各世代の代表車両と共に紹介することが出来たという、本国英国にも胸を張って出せる記事であり、それを世に出す事にいささかなりとも関与できたというのは10年近く経った今でも筆者の大きな喜びである。

 

 まだお持ちでない方は是非バックナンバーでお買い求めいただきたいが、その内容について画素数を落とした形ではあるが以下に紹介したい(ユーズドカー紹介の項を除く)。

 

 

 

 

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